行政書士 オフィス薫

ー遺言書の作成時の注意点とは?家族に想いを残すために知っておきたい基本ー

遺言書を作成する前に目的と財産を整理しましょう

遺言書の作成時の注意点として、まず大切なのは「何を誰に残したいのか」を明確にすることです。遺言書は、単に財産の分け方を書く書類ではなく、残された家族が迷わず手続きを進めるための大切な意思表示です。そのため、いきなり書き始めるのではなく、不動産、預貯金、株式、自動車、貴金属、保険金など、所有している財産を一覧にして整理しておくと安心です。財産の内容があいまいなままだと、相続人同士で「どの財産のことを指しているのか」が分からず、かえってトラブルになることがあります。また、借入金やローンなどのマイナスの財産も確認しておきましょう。相続はプラスの財産だけでなく、負債も関係します。家族構成や相続人の関係性も踏まえながら、誰にどの財産を引き継いでもらうのがよいかを考えることが、納得感のある遺言書づくりにつながります。

形式の不備があると無効になる可能性があります

遺言書は、内容だけでなく書き方にも注意が必要です。特に自筆証書遺言の場合、本人が全文、日付、氏名を自書し、押印するなど、決められた形式を守らなければなりません。日付を「令和○年○月吉日」のように特定できない形で書いたり、署名や押印が抜けていたりすると、せっかく作成しても効力が認められない可能性があります。財産目録についてはパソコン作成や通帳コピーの添付が認められる場合もありますが、その場合でも各ページへの署名押印など、必要な対応を忘れないようにしましょう。また、訂正方法にも決まりがあるため、間違えた場合は無理に書き直すより、新しく作り直した方が安全なケースもあります。自分で作成することに不安がある場合は、公正証書遺言を検討するのも一つの方法です。公証人が関与するため、形式面の不備を防ぎやすく、紛失や改ざんのリスクも抑えられます。

相続トラブルを防ぐために配慮した内容にしましょう

遺言書の作成時の注意点として、家族間の感情面への配慮も欠かせません。法律上有効な内容であっても、特定の相続人だけに大きく偏った内容にすると、不満が生まれやすくなります。特に、配偶者、子ども、親などには最低限の取り分として遺留分が認められる場合があります。遺留分を大きく侵害する内容にすると、後から請求が起こり、相続手続きが長引く原因になることがあります。そのため、財産の分け方を決める際は、法律上の権利と家族の事情の両方を考えることが大切です。たとえば、介護をしてくれた人へ多めに残したい、事業を継ぐ人に会社関係の財産を渡したいなどの希望がある場合は、その理由を付言事項として書いておくと、想いが伝わりやすくなります。付言事項には法的な効力はありませんが、家族が遺言の背景を理解する助けになります。

保管方法と見直しも忘れずに行いましょう

遺言書は作成して終わりではありません。作成後の保管方法も重要な注意点です。自宅で保管する場合、紛失、破棄、改ざん、発見されないといったリスクがあります。せっかく遺言書を作っても、相続開始後に見つからなければ意味がありません。信頼できる人に保管場所を伝えておく、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する、公正証書遺言にするなど、確実に見つかる方法を考えましょう。また、遺言書は一度作れば一生そのままでよいとは限りません。結婚、離婚、子どもの誕生、相続人の死亡、不動産の売却、財産状況の変化などがあった場合は、内容を見直す必要があります。古い遺言書と新しい遺言書の内容が矛盾すると、後の内容が優先される部分もありますが、混乱を避けるためには定期的に整理しておくことが大切です。遺言書を正しく作成し、適切に保管することで、大切な家族への想いをより確実に残すことができます。