社長死亡という事態が生じると、その瞬間に相続人における相続が開始されます。
ただ、遺産には正の財産があれば、借金などの負の財産もあり、付随して相続税の納付の問題もあります。
それらの複雑な処理を行うには、専門家にナビゲートしてもらった方が効果的な場合があります。
そのナビゲーターに最適なのが「行政書士」です。
●相続における手続きの確認事項
相続は以下の手順で進められます。
1)相続人の確定
相続権利を保有している全ての人の確定作業
2)相続財産調査
相続すべき財産の内容を調査
3)遺言書の有無の確認
遺産分割では遺言書が優先されるため、被相続人の遺言書の有無を確認
4)遺言書検認手続き
遺言内容において、家庭裁判所の検認を取得
5)準確定申告
被相続人の所得税の申告
6)遺産分割協議
相続財産を相続人の間でどのように分けるかを確定
7)相続財産の名義変更手続き
各相続人が相続財産の名義を変更
8)相続税の申告
各相続人が相続税を申告
●行政書士の行う業務
行政書士は相続手続きにおいて、入口となる相続人の確定から出口である遺産分割協議手続きまで幅広くカバーします。
行政書士が担当する業務として、以下の3つの書類の作成があります。
・相続関係説明図
・相続財産目録
・遺産分割協議書
そして、相続手続きにおける行政書士の主な役割は以下の4つになります。
1.相続財産の調査・確定業務
2.遺産分割協議書の作成業務
3.相続財産名義変更の支援
4.相続税申告の支援
1.相続財産の調査・確定業務
相続がどこまで及ぶのかを確定した後、相続財産に何がどれくらいあるのかを調査します。
被相続人が社長ともなれば、その範囲はかなり広くなります。
1)不動産に関する調査
・被相続人名義の不動産の所在の特定
・不動産の登記事項証明書の取得
・権利関係の確認
・公図や地積測量図、固定資産評価証明書等の取得
・相続税評価額の算出
2)預貯金・株式に関する調査
被相続人名義の預貯金や証券口座を特定し、金融機関等に対して残高証明書の提出を請求します。
3)出資金・負債等に関する調査
出資証書、金銭消費貸借契約書などから相手を特定し、条件の詳細を確認します。
調査の結果、判明した財産の種別ごとに評価額を計算し、「相続財産目録」を作成します。
2.遺産分割協議書の作成業務
遺産分割においては、
必ず妻や子供などに割り当てられる法定相続分通りの配分でなければならないわけではありません。
相続人全員の合意があれば、配分割合を自由に決めることができます。
そして、合意があったことを証明するため、相続人全員で合意内容を書面に残します。
それが「遺産分割協議書」であり、行政書士に作成を依頼できます。
行政書士は相続人の間においてスムーズな合意ができるよう、書類の作成におけるサポートを行います。
ちなみに、遺産分割の方法には以下の5つがあります。
①現物分割、②代償分割、③代物分割、④換価分割、⑤共有分割
3.相続財産の名義変更の支援
不動産や株式など、必要な名義変更の種類を指定し、作成のサポートを行います。
4.相続税申告支援
相続人が相続で取得した相続財産の課税評価額を算出し、最終的に課される相続税を各相続人に指定します。
そして、全相続人が共同で相続税申告書を作成し、所轄税務署に提出します。
なお、行政書士は税務書類の作成は行うことができないため、あくまでも作成のサポートになります。
●行政書士ができない業務
行政書士は法律上、以下などの業務ができません。
1)相続紛争など、法律上の手続き
2)相続税の納付に関する相談
3)不動産登記など、登記手続き
●まとめ
被相続人が亡くなった時点で遺産相続が開始されます。
従って、速やかな処理が必要です。
仮に、被相続人が企業の社長ともなると、財産も負債も多岐にわたる可能性があります。
その場合、相続人同士で揉め事が起きないよう、
専門の行政書士にサポートを受けることが最善の策になることが少なくありません。