親子で話し合う、遺言書
相続の際には、遺産について「誰が」「どの部分を」相続するのかトラブルになることがよくあります。
相続人同士で遺産分割協議をする必要がありますが、
意見が合わないと最終的には裁判所を巻き込んだ争いになってしまいます。
そんな遺産分割のトラブルを防ぐためには、被相続人が遺言を残し、
その中で分割方法を決めておくことが有効です。
遺言書についていつか来る相続の日のために、親子で考えてもらえればと思います。
遺言書でもめる原因とは
親が遺言を残すことに意欲的であることもありますが、親に全てをお任せしてしまうのには注意が必要です。
遺言書には、形式面、内容面においてルールや注意点がいくつもあるからです。
遺言書があっても結局揉めてしまうケースについてみていきましょう。
まず、形式面に不備があり、その遺言書が無効とされてしまう場合があります。
自筆で記載しなかったケース
自分だけで遺言書を作成しようとした場合、
遺言書は原則として、財産目録以外の全文、日付、氏名を”自筆”で書かなければなりません。
本文や日付をワープロソフトで作成して、署名押印した文書をタンスの中にしまっておいたとしても、
その書面は法律上有効な遺言書ではありません。
なお、遺言書は自分だけで作ろうとするのではなく、
公証役場において公正証書遺言の形で作成するのがおすすめです。
形式については公証人のチェックが入りますし、遺言書を残した事実が争われる可能性も低くなります。
日付がなかったケース
遺言書には作成した日付が必要です。
遺言書が複数出てきた場合には、より新しい日付の遺言書の内容が有効となりますが、
そもそも日付がないとその遺言書は無効です。
日付は必ずしも「○年○月○日」といった形で書く必要はありません。
たとえば、「私の77歳の誕生日にこれを記す」といった記載があれば、作成日を特定できるので有効です。
内容面に問題があるケース
内容面においてもトラブルとなる恐れがあります。
通常、遺言書では誰に何を相続させるのか、もれなく書いておく必要があります。
しかし、遺言書の中に書かれていない財産があると、
その財産を誰が相続するのか結局トラブルの種になってしまいます。
相続人が遺言書の作成依頼をしても、相続できるものがどれだけあるのか、
依頼者が把握できていないことが多いので、
書類集めなどに時間がかかってしまい遺言書作成をスムーズに行えません。
遺留分を無視してしまったケース
相続人には遺言の内容にかかわらず、「これだけは相続できる」と決まっている部分があります。
これを遺留分といい、たとえば、相続人が子ども1人だけだった場合、
この子どもは親の遺産の2分の1を確保できる権利があります。
このとき、
親が「私の財産は全て、老後の面倒を見てくれたお手伝いさんに遺贈する」なんて遺言を残してしまうと、
2分の1の遺留分を有する子どもとお手伝いさんとの間で財産を巡って争いになってしまいます。
遺言書を書いてもらう方法
遺言書を作成するには色々注意すべき点もありますが、
そもそも親に遺言書を作成する気がない場合もあるでしょう。
しかし、気まずさはいったん脇に置き、素直に「遺言書を書いて欲しい」と親に伝えることが大切です。
親の死について親と語ることは確かに難しいことですが、避けては通れない道です。
また、親が認知症にかかり正常な判断能力を失ってしまうと、親は遺言を残せませんし、
仮に残したとしても、その遺言書の効力を巡って争いになってしまいます。
遺言書はきちんと作らないと、作成したのに結局トラブルが起こってしまった、なんてことになりかねません。
ご両親と一緒に相談するメリット
円滑な相続を行うために遺言書を作成したにも関わらず、
結局トラブルが起こってしまったとなると意味がありませんので、
遺言書の作成にあたっては専門のプロに相談の上、しっかりとした内容の遺言書を作成するのがよいでしょう。
秋田市で相続問題のご相談なら、行政書士 オフィス薫までお問い合わせください。