遺言書の保管場所はどこがいい?確実に遺言を執行してもらうためには
遺言書を残しておくと、相続人は遺言書の通りに財産を分けることになり、相続手続きがスムーズになるだけでなく、相続トラブルを防げます。
そして、遺言書を作成したときに迷うのがその保管場所ではないでしょうか。
遺言書の保管場所は重要で、誰にも見つけられないまま遺産分割をされてしまうと、せっかく作成した遺言書の意味がなくなってしまいます。
今回は、自筆証書遺言書の保管場所について解説します。
自筆証書遺言書は基本的にどこに保管しても良い
自筆証書遺言書の保管場所は特に定められていません。
そのため、どこに保管していても法律上問題はありません。
しかし、誰でも触れられる場所に保管していると、遺言書が改ざんされたり破棄されたりする可能性があります。
そのため、簡単に出し入れされにくい場所を選ぶ必要があります。
かといって、見つけにくい場所に隠してしまうと誰にも存在を知られぬまま相続手続きが終わってしまう可能性もあります。
つまり、遺言書の保管場所は、相続人以外が遺言書を勝手に触れることが難しく、遺言者の死後相続人が容易に発見できる場所が望ましいと言えます。
自筆証書遺言書の主な保管場所
遺言書の保管場所としてよく選ばれやすいのは次のような場所です。
金庫
遺言書の保管場所として良く選ばれるのが金庫です。
金庫は強度や耐火性もあり、簡単には開けられません。
そのため、重要書類を保管している方も多いでしょう。
遺言書を保管するには良い場所ですが、自分の死後に誰にも開けられない、ということのないように相続人に金庫の開け方は伝えておきましょう。
机・タンスの引き出し
自分の机やタンスの引き出しに保管するという方法もあります。
ほかの人があまり開けない場所であれば入れておいても良いでしょう。
安全性を考慮するなら鍵付きの引き出しに保管した方が安心です。
机の引き出しで保管する場合は、死後の遺品整理で誤って廃棄されないように注意が必要です。
本の間に挟むなど、見つけにくい保管方法は誤廃棄や紛失の恐れがあるため避けた方が良いでしょう。
信頼できる知人・友人
遺言書を信頼できる知人・友人に預ける方法もあります。
遺言書で遺言執行者を定めた場合は、相続開始後は遺言執行者が手続きを行うことになりますので、遺言執行者に預けておく方法もあります。
人に預けておけば相続人が勝手に遺言書を開封したり破棄したりするというリスクを減らせます。
ただし、預けた人が先に亡くなっていた、など遺言書の存在が知られないままになってしまうおそれもありますので注意が必要です。
第三者に託す場合は死亡時の連絡方法を事前に準備しておく必要があります。
自筆証書遺言書は法務局で保管できる
2020年7月10日から、自筆証書遺言の法務局での保管制度が始まりました。
自筆証書遺言書を法務局に預け、画像データとして保管する制度です。
遺言書保管制度を使用すると、遺言書の形式チェックを受けられるため、遺言書の形式不備による無効を防げるほか、法務局で保管することで遺言書の偽造や改ざんのリスクがなくなります。
さらに、法務局が遺言者の死亡を確認すると、法務局で遺言書を保管していることを申請時に指定した相続人等に通知しますので、遺言書の存在を知られないまま相続手続きが進むというリスクが解消される、家庭裁判所の検認手続きが不要、というメリットがあります。
遺言書は保管方法についてもよく考えておく
遺言書は自分の意思を残された家族に伝えるためのものです。
せっかく作成した遺言書は確実に執行してもらえるように保管方法についても考えておくことが大切です。
また、作成した自筆証書遺言が形式不備で無効とならないように、行政書士などの専門家から遺言書の作成サポートを受けると安心です。